「自然(しぜん)」は、人の手を加えず存在するもの、あるいは宇宙や生命の本来の姿を意味します。 日本では「ありのまま」「調和」「無理のない生き方」を象徴する言葉としても使われます。
この記事では、世界各国語における「自然」の表現と、その文化的・哲学的な背景を紹介します。
世界各国の「自然」の表現まとめ
日本語:自然(しぜん) / 天然(てんねん) / 無為(むい)
日本語の「自然(しぜん)」は、“おのずから然(しか)る”という意味から生まれた言葉で、「ありのままの姿」「人の作為を離れた状態」を表します。「無為自然(むいしぜん)」は道教思想にも通じる哲学的表現です。
英語:nature(ネイチャー) / wilderness(ウィルダネス)
英語の「nature(nature/ネイチャー)」は最も一般的で、生命・環境・宇宙の秩序を含む広義の言葉です。「wilderness(ウィルダネス)」は人の手が入っていない“野生の自然”を意味します。
中国語:自然(ズーラン) / 天然(ティエンラン)
中国語でも「自然(zìrán/ズーラン)」が共通の概念で、「おのずからそうなる」という道家思想に由来します。「天然(tiānrán/ティエンラン)」は人工でないことを意味します。
韓国語:자연(ジャヨン)
韓国語では「자연(jayeon/ジャヨン)」が自然。日本語と同じ漢字語で、「自然스럽다(ジャヨンスロプタ)」=“自然らしい・ナチュラル”という形容詞としても使われます。
フランス語:nature(ナチュール) / milieu naturel(ミリュー・ナチュレル)
フランス語では「nature(nature/ナチュール)」が自然、「milieu naturel(自然環境)」は生態学的文脈で使われます。「être en harmonie avec la nature(自然と調和して生きる)」という表現がよく使われます。
スペイン語:naturaleza(ナトゥラレサ)
スペイン語の「naturaleza(naturaleza/ナトゥラレサ)」は自然・性質・本質を含む概念。詩では「madre naturaleza(母なる自然)」として人格的に描かれることもあります。
ドイツ語:Natur(ナトゥーア) / Umwelt(ウンヴェルト)
ドイツ語では「Natur(Natur/ナトゥーア)」が自然、「Umwelt(ウンヴェルト)」は“環境”を指します。哲学では自然と人間の関係を重視し、「Naturphilosophie(自然哲学)」という学問も発展しました。
イタリア語:natura(ナトゥーラ)
イタリア語では「natura(natura/ナトゥーラ)」が自然の基本語。ラテン語起源で、生命の秩序や運命の力も含む広い概念です。「forza della natura(自然の力)」は有名な表現です。
ロシア語:природа(プリローダ)
ロシア語では「природа(priroda/プリローダ)」が自然。語源的には「源から生まれるもの」を意味し、宗教や文学で“母なる自然(мать-природа)”という擬人化表現がよく使われます。
アラビア語:الطبيعة(アッ=タビア)
アラビア語では「الطبيعة(al-ṭabīʿa/アッ=タビア)」が自然。哲学では“神が創造した秩序ある世界”を指し、人間もその一部として理解されます。
ヘブライ語:טבע(テヴァ)
ヘブライ語では「טבע(teva/テヴァ)」が自然。ユダヤ思想では「טבע」は“神の法則に従う世界”を意味し、信仰と科学の調和を象徴する言葉です。
タイ語:ธรรมชาติ(タムマチャート)
タイ語では「ธรรมชาติ(thammachāt/タムマチャート)」が自然。“法(dhamma)”に由来し、仏教的に“宇宙の真理・自然の摂理”を含みます。
ポルトガル語:natureza(ナトゥレーザ)
ポルトガル語では「natureza(natureza/ナトゥレーザ)」が自然。詩では「beleza da natureza(自然の美)」が定番表現です。
ヒンディー語:प्रकृति(プラクリティ) / प्राकृतिक(プラークリティク)
ヒンディー語では「प्रकृति(prakṛti/プラクリティ)」が自然。サンスクリット由来で、ヒンドゥー哲学では“宇宙を構成する根源のエネルギー”を意味します。
インドネシア語:alam(アラム) / keindahan alam(クインダハン・アラム)
インドネシア語では「alam(alam/アラム)」が自然。「keindahan alam(自然の美)」という表現が広く使われ、神の創造の調和を意味します。
ベトナム語:thiên nhiên(ティエン・ニエン)
ベトナム語では「thiên nhiên(thiên nhiên/ティエン・ニエン)」が自然。漢越語で“天とともにあるもの”という意味を持ち、仏教・儒教思想にも通じます。
トルコ語:doğa(ドア) / tabiat(タビアト)
トルコ語では「doğa(doğa/ドア)」が一般的な自然、「tabiat(tabiat/タビアト)」はアラビア語由来で哲学的な“自然の法則”を指します。
ペルシャ語:طبیعت(タビアット)
ペルシャ語では「طبیعت(ṭabi’at/タビアット)」が自然。イスラム哲学では“神が創造した世界の秩序”という意味を持ち、詩では「طبیعت زیباست(自然は美しい)」が定番です。
最後に
この記事では、世界各国の「自然」の表現をご紹介しました。「nature」「naturaleza」「自然」「प्रकृति」「thiên nhiên」など、どの言語でも“生命・調和・宇宙の摂理”を象徴しています。
ネーミングに使う場合は、「調和」「生命」「静けさ」「ありのまま」「循環」などを連想させる、穏やかで普遍的な言葉として最適です。



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