「影(かげ)」は、光があることで生まれる形のない存在です。日本語では「陰(いん)」と「影(えい)」の2つの字があり、前者は暗がりや奥行きを、後者は姿や映像を意味します。光と闇の狭間にある「影」は、詩や哲学の中で重要なモチーフとされています。
この記事では、各国語における「影」の表現をまとめました。
世界各国の「影」の表現まとめ
日本語:影(かげ) / 陰(いん)
日本語では「影(かげ)」が形の映り、「陰(いん)」が光の届かない暗がりを指します。どちらも文学や感情表現で多用され、「人影」「面影」「木陰」など多様な派生語を持ちます。
英語:shadow(シャドウ) / shade(シェイド)
英語では「shadow(シャドウ)」が物体によって生じる影、「shade(シェイド)」が日陰や涼しさを表します。比喩的には「past shadow(過去の影)」「shadow of fear(恐怖の影)」などにも使われます。
中国語:影子(インズ) / 阴影(インイン)
中国語では「影子(yǐngzi/インズ)」が物理的な影、「阴影(yīnyǐng/インイン)」は比喩的に「心の影」「暗い部分」などに使われます。どちらも文学的・心理的な表現で頻出します。
韓国語:그림자(クリムジャ) / 음영(ウミョン)
韓国語では「그림자(geurimja/クリムジャ)」が「影」、「음영(eumyeong/ウミョン)」は「明暗」「陰影」を意味します。「그림자는 존재의 증거(影は存在の証)」という表現もあります。
フランス語:ombre(オンブル)
フランス語では「ombre(オンブル)」が「影」「陰」「シルエット」を意味します。「à l’ombre(アロンブル)」は「日陰で」という意味で、同時に「保護された場所」という比喩も持ちます。
スペイン語:sombra(ソンブラ)
スペイン語では「sombra(ソンブラ)」が「影」や「日陰」を意味します。「vivir en la sombra(影で生きる)」のように、隠れた存在を象徴する言葉でもあります。
ドイツ語:Schatten(シャッテン)
ドイツ語では「Schatten(シャッテン)」が「影」「陰」。比喩的に「in jemandes Schatten stehen(誰かの影に立つ=目立たない存在)」という表現もあります。
イタリア語:ombra(オンブラ)
イタリア語では「ombra(オンブラ)」が「影」を意味します。詩や絵画で頻出する言葉で、「un’ombra di tristezza(悲しみの影)」など感情表現にも使われます。
ロシア語:тень(チェーニ)
ロシア語では「тень(ten’/チェーニ)」といいます。哲学や文学では「душа и тень(魂と影)」のように、人間の二面性を表す象徴的な言葉です。
アラビア語:ظل(ジル) / خيال(ハイヤール)
アラビア語では「ظل(ẓill/ジル)」が物理的な影、「خيال(khayāl/ハイヤール)」は「幻影」「姿」「幻想」を意味します。後者は「影=想像の世界」を象徴します。
ヘブライ語:צל(ツェル)
ヘブライ語では「צל(tsel/ツェル)」が「影」を意味します。宗教的文脈では「בצל האל(ベツェル・ハエル)」=「神の影の下で」という表現もあり、守護や庇護の象徴です。
タイ語:เงา(ンガオ)
タイ語では「เงา(ngao/ンガオ)」といいます。直訳は「影」ですが、「孤独」「静けさ」の象徴として詩や歌詞に使われることもあります。
ポルトガル語:sombra(ソンブラ)
ポルトガル語でも「sombra(ソンブラ)」が「影」「陰」を意味します。「viver à sombra(影に生きる)」という表現は、静かな人生や控えめな存在を示します。
ヒンディー語:छाया(チャーヤー) / परछाई(パルチャーイー)
ヒンディー語では「छाया(chhāyā/チャーヤー)」が一般的な「影」、「परछाई(parchhāī/パルチャーイー)」は「映る影」や「面影」を意味します。どちらも詩的な語です。
インドネシア語:bayangan(バヤンガン)
インドネシア語では「bayangan(バヤンガン)」といいます。「bayang(バヤン)」=影+接尾辞 -an。「影」「幻」「記憶」を表し、精神的な意味でも用いられます。
ベトナム語:bóng(ボン) / cái bóng(カイ ボン)
ベトナム語では「bóng(ボン)」が「影」を意味し、「cái bóng(カイ ボン)」は「人影」「シルエット」を表します。比喩的に「過去の影」などにも使われます。
トルコ語:gölge(ギョルゲ)
トルコ語では「gölge(ギョルゲ)」といいます。「影」「陰」「庇護」を表し、「Tanrı’nın gölgesi(神の影)」は守護や導きを意味します。
ペルシャ語:سایه(サーイェ)
ペルシャ語では「سایه(sāye/サーイェ)」といい、非常に詩的な言葉です。愛する人を「سایهام باش(サーイェ・アム・バーシュ=私の影になって)」と呼ぶこともあります。
最後に
この記事では、世界各国の「影」の表現をご紹介しました。「shadow」「ombre」「影」「سایه」など、どの言語でも「存在」「記憶」「静寂」「守護」「孤独」といった深い意味を持つ言葉です。
ネーミングに使う場合は、「神秘」「深み」「内省」「静けさ」を感じさせる言葉として、詩的・幻想的な印象を与えます。



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